協栄プリント技研株式会社

機械・加工技術

自己修復フィルム活用の当て板開発

協栄プリント技研はプレス金型製造や微細加工部品製造をメーンに手がける。

社内のIoT化を進めるとともに、工作機械をプラットフォームにした中小企業向けの安価なIoTシステムを開発し販売している。新型コロナウイルス禍の中、医療従事者を飛沫感染から守る「使い捨て飛沫ガード」を製品化するなど、新しい開発事業に挑戦している。

ショットごとの当て板フィルム不要に

―力を入れている開発案件について。

「シート製品を打ち抜き加工する際『自己修復フィルム』を使った『当て板』の機構を開発しています。従来、刃型や彫刻刃型を使った高分子フィルムや紙などのシート製品の打ち抜きでは、加工対象物の下に当て板を敷き、当て板に刃を食い込ませてから切断します。当て板にはフィルムや合成樹脂を利用します。表面加工ごとに当て板の表面にキズがつき、加工対象の切れ味が悪くなります。製品の表面にキャリアシートを貼り付けることで切れ性は安定しますが、作業工程が増え材料費もかかります。このためユーザーから『何とかならないか』という相談を受けていました」

―解決策について教えて下さい。

「自己修復フィルムの活用を考えました。このフィルムは時間経過に伴い、表面上の傷が元に戻る自己修復機能付きの塗膜をコーティングしています。フェースガードを開発した際に使用しました。そこで、同フィルムが使えるのではないかと思いつきました。当て板に使うことで、表面加工ごとに自己修復するので切れ性を安定させた打ち抜きが可能になります。さらに、自己修復フィルムを固定する土台にアルミニウムを使います。内部に電熱ヒーターを入れ、プラス80-140度Cに加熱します。温度を高めることでフィルムの自己修復を速めます」

―今後の当て板事業の展開は。

「現在は加工対象物の厚みや素材によって、どのような当て板が最適かデータを集めて、調査・研究を進めています。土台となる治具とセットで販売することを考えており、完成後は包装や電子部品、自動車関連などの産業に提案していきます」

代表取締役社長
小林 明宏氏

自己修復フィルムを使用した、連続打ち抜き可能な刃型をご紹介します。

刃型、彫刻刃型でシート製品を加工する際、合成樹脂や機能性フィルムの当て板に刃を食い込ませて切断しています。当て板の傷により、切れ性が低下するのである程度使用すると当て板の交換が必要になります。当て板の代わりにキャリアシートを使用することもありますが、シート材料全体にキャリアシートを貼り付けて加工するため、作業工数が増え、材料費が大幅に上昇します。

そこで、刃型、彫刻刃型の当て板に自己修復フィルムを使用します。自己修復フィルムとは、フィルム表面についた傷が、時間変化に伴い自己の力で元に戻る性質を有する塗膜を形成したフィルムの事です。自己修復フィルムを使用することで、加工ごとにフィルム表面に付いた傷を自己修復させ、連続打ち抜き加工が可能となります。またヒーターなどで熱を加えることで、修復速度を速めることが可能です。

会社名 協栄プリント技研株式会社
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